ノスタルジックな質感、きめ細やかな描写力。
デジタルの潮流から逆光するかのように、フィルムカメラの魅力に取り憑かれる人が近年増えているようだ。
フィルムカメラ購入のハードルになるのが店選び。デジタルとは仕様も異なるほか、ラインナップが多様のため選ぶのに苦労する。
しかし、フィルム写真の初心者であっても安心して納得のカメラ選びが出来る良店を発見した。
それが今回紹介する三葉堂写真機店(みつばどうしゃしんきてん)だ。
三葉写真機店とは
東京には中古のフィルムカメラを扱った専門店がいくつか存在しているが、自分が選んだのは日暮里にある三葉堂写真機店(みつばどうしゃしんきてん)。
日暮里駅から徒歩5分ほどの住宅街にひっそりと佇んでいる。
三葉堂写真機店がオープンしたのは2017年2月。
フィルムカメラ好きの若者3人がSNSで集まってオープンさせた、比較的新しい中古のカメラ屋だ。
敷居が高いと思われがちな中古カメラ店をもっと身近にしたい、女性や若い人が立ち寄りやすい店にしたい、というのが三葉堂寫眞機店のコンセプトだ。
引用: camera fan
店のコンセプトにもあるよう、「フィルムカメラの初心者にオススメ」といった口コミや評判を多く見かける。
その一方で、「ノリが若者のサークル」「店員の態度に腹が立つ」などネットでは悪評も目立つ。
結論から言えば、間違いなくカメラ初心者は一度足を運ぶ価値はあると感じる店だ。
ネットの悪評も捉え方によってはその通りに感じる人もいるかもしれない。(後述する)
三葉堂写真機店の特徴
三葉堂写真機店は店の歴史もスタッフも若いため、一般的な中古カメラショップとは雰囲気や接客とは少し変わった一面があるかもしれない。
僕が感じた他のショップにはない、三葉堂写真機店の魅力について紹介していきたいと思う。
店員との距離感が近い
まず最初に言えるのが、店員との距離感。
店はこじんまりとしているため物理的な距離感も近いのだが、カメラを眺めているとスッと店員さんが話しかけてくる。
めっちゃ喋る。1つ聞くと10返ってくる。極端な例えではなく本当に。
カメラショップに限らず、これほどフレンドリーに接客をする店を僕は他に知らない。
3時間もつきっきりでフィルムカメラ選びに付き合ってもらい、予備知識ゼロの状態でも後悔することのない愛機が見つかるはずだ。
口コミや評判では、このフレンドリーさを毛嫌いする客もいるようだ。
店員曰く、「銀座などの高級店と接客を比較されて指摘をされた」こともあるとのこと。
落ち着いてカメラを選びたい玄人のユーザーはあまり合わないかもしれない。
カメラは全て整備済み
店内に展示されているのは、既に専門業者にオーバーホールを依頼し、点検と修理が済んだものになっている。
多くの中古ショップでは、「とりあえず動く」ということを確認し出品していることが多い。
よくありがちな購入後のトラブルのリスクが少ない、というのはフィルムカメラ初心者にとっても非常にありがたい点だ。
中古カメラは修理費が高いからね。
しかし、その分値段は高め。カメラ本体で相場より2~3万ほど高い価格設定になっている。
僕が購入したNikon FM2はカメラ本体が58,000円、Nikkor 50mm F1.8が22,000円と合計で80,000円した。
安く購入しようとすれば両方で3万台で購入出来ることも考えれば、購入するのに腰が引けるかもしれない。
それでも後の修理サポートなど長期的な運用を考えれば、三葉堂写真機店は初心者にとって非常に安心感のある店だ。
カメラ | 店内価格 | 相場 |
Nikon FM2 | 30,000円~40,000円 | 58,000円 |
Nikkor 50mm F1.8 | 22,000円 | 15,000円 |
基本的な知識を一通り教えてくれる
フィルムカメラを選ぶ際の基準、メーカー・カメラごとの特徴、操作方法などの一通りの知識を選びつつ教えてもらうことが出来る。
そのため、事前の予備知識がなくてもカメラを選ぶ際に困ることは殆どない。
必ず「お客さんが写真を撮りながら帰れる」レベルになるようレクチャーをするのをモットーにしているらしい。
客数は多くないため、撮り方からフィルムの交換・現像までみっちり教えてもらえるはずだ。
店員の山本さん曰く、「初心者にレクチャーする時間は平均で2時間、長くて3時間ほど」らしい。
もはや写真教室である。
最終日ということで駆けつけてくれた山本さん、降臨です! この笑顔は @mitsubadocamera さんに行くとみることができます!!(仕事中抜け中だそうです)ありがとう!! pic.twitter.com/AifvOnPlFl
— 森谷修_Photographer (@moriya_osamu) January 27, 2020
三葉堂写真機店に行く前に知っておきたいこと
三葉堂写真機店はぜひフィルムカメラ初心者にオススメしたいが、足を運ぶ前に知っておいた方が良い点についても触れておきたいと思う。
基礎的なカメラの知識は知っておきたい
デジタル一眼にある程度触れている人なら問題はないと思うが、基本的なカメラの前提知識がある方が好ましい。
スタッフにカメラ選びを相談する際はやはり前提知識がないと理解が難しい場面も多いため、全くのカメラ初心者であれば下記のキーワードの概要だけでも調べてから店に足を運ぶことをオススメする。
- シャッタスピード
- 絞り
- ISO感度
- 露出補正
全くカメラがわからない人でもレクチャーはしますが、4時間コースになるかもです。笑
OH…。
値段は高め
前述もした通り、カメラの値段は相場に比べればやや高め。
これは三葉堂のスタッフの方も自ら言ってきたが、「トラブルなく安心して使えるよう事前にオーバーホール(修理)に出している」という理由から。
中古カメラは修理代が3-5万ほどするため、品質が保証される分価格が上乗せされている、ということになる。
他店と価格を比較すると購入を躊躇ってしまうかもしれないが、個人的には初心者ほど最初の一機目は「確実に信頼できる」店で購入すべきだと思っている。
中古で安く購入したものの、万が一壊れて場合は修理業者に依頼をするハードルが高い上に、トータルのコストも高くついてしまうためだ。
とはいえ、予算をオーバーしてしまう場合は他店を検討した方が良いため事前に他の店でも価格と状態はチェックを推奨する。
カメラのラインナップは多くない
カメラのラインナップ自体はそこまで多くない。
メーカーも一眼レフはNikon・PENTAXが中心で、Canonやフジは店内に置いていない。
王道かつ人気なカメラは充実しているが、ニッチなファンが喜ぶような目新しいカメラもあまり置いてはいない。
フィルムカメラにある程度精通している人にとっては少々退屈に感じる可能性もある。
まとめ
というわけで、三葉堂写真機店についての紹介だった。
店員のフィルムカメラへの熱意と愛情のこもった説明で、納得したカメラ選びが出来るはず。
フィルムカメラ初心者には確実にオススメをしたい店だ。