2018年はASMR元年になる。
そんなことを今年はじめに言ってましたが、多くのメディアでASMRが取り上げられるなど、ASMRの認知度は着実に伸びてきていることがわかります。
GoogleトレンドでもASMRの検索ボリュームは右肩上がりです。
韓国や欧米では早い段階でASMR市場が成熟しており、既に音フェチのためのテレビ番組やアプリケーションがリリースされています。
日本でもASMR関連のアプリやメディアの展開が始まっても良い頃だと思うんですけどね、なかなか出てこないですね……。今激アツですよ、ASMR。
ASMR関連で特に私が最近気になっているハマっているのが、TinglesというASMRにフィーチャーしたアプリ。
現時点で日本人で利用しているユーザーは殆どいないと思いますが、これからじわじわと世界で浸透していくような気がするアプリです。
今回は音フェチにぜひオススメしたいTinglesの紹介と、今後の日本国内でのASMRの盛り上がりについて考えてみたいと思います。
快適さを追求したASMRアプリ「Tringle」とは
2017年初めにスロベニア人のGasper Kolenc氏とMiha Mlakar氏によってローンチさたれたTingle。
TinglesはASMRに特化した動画メディアとなっており、数百人のASMRistたちが独創的なASMRビデオを投稿している。ユーザーは様々なクリエイターの作品を無料で楽しむことが出来ます。
これだけ聞くとYoutubeとなんら変わらないような印象を受けますが、Tinglesはサービス開始から1年弱で月間アクティブユーザーが6万人を超える規模になっています。さらにユーザーの三分の一が毎日Tinglesを利用しているとのこと。
参照
Tingles is an app devoted to ASMR videos
Youtubeという最大の敵がいる中で、ASMRというニッチな分野でここまでユーザー数が伸びた背景には、 ASMRを利用するユーザーの視点からサービスを構築している点にあると思います。
アプリ内に広告掲載が一切ない
Tinglesにはアプリ内に広告掲載は一切なく、投稿された動画内にも広告が掲載されていません。
Youtubeのように、ASMRを楽しんでいる最中に煩わしい広告に心地よさを邪魔される心配がないわけです。ユーザーはストレスフリーでASMRを楽しむことができます。
私もYoutubeでASMRを視聴することがほとんどですが、作業中や就寝前に聴いている動画内で広告が始まると気分が一気に潰されるので凄く嫌でした。
広告掲載がない分マネタイズは、有料コンテンツの配信や、ユーザーからASMRistへの投げ銭で賄っています。日本でもshowroomやtiktokなどユーザーからの投げ銭を収益源として採用して成功している前例は多いですよね。
ASMRを楽しむ上で快適さは必須になってくる点だと思うので、煩わしい広告をなくしたことはUXの観点から正解ですね。
ASMRユーザーの潜在的なニーズに応えた機能
TinglesにはASMRを視聴するユーザーのニーズに沿った機能を提供しています。
サイエンス分野のオープンアクセス誌であるPeerJの調査によると、ASMRを視聴する人の8割が睡眠やリラックスを目的として動画を視聴していることが明らかになりました。
Through Likert style questions, participants largely sought out ASMR as an opportunity
for relaxation, with 98% of individuals agreeing, or agreeing strongly with this statement.
In a similar vein, 82% agreed that they used ASMR to help them sleep, and 70% used
ASMR to deal with stress.
Tinglesは大半のユーザーのニーズに合わせ、動画の再生機能にタイマーを採用したり、再生形式を選択できる機能を追加しました。これなら就寝時にも通信の容量など気にせず再生できますよね。
タイマーは15分刻みで設定をすることができます。
再生の際の通信容量を抑えるために再生形式も豊富。就寝の際ならAudioのみで十分。
繊細なASMRの世界において、こういった細かい機能がユーザーからの高い評価を得るのにつながるのではないでしょうか。
また、アプリのUIも黒と紫を基調としたすっきりとしたデザインになっており、非常に使いやすい。
ユーザー体験(UX)を高めるための様々な工夫が凝らしてあり、私もtinglesユーザーになるまで時間はかかりませんでした。
世界的な展開も見据えているようで、日本を含めアジアでもマーケットを拡大していく可能性があるかもしれません。
日本のASMR市場の現状と将来性
欧米をはじめとした海外でASMRに特化したメディアやアプリが誕生する一方で、日本でそのような潮流は今のところ感じられません。
ASMRの概念は最近になり認知を広げつつあるものの、まだまだ一部のマニアを中心にしたニッチな分野です。
しかし、海外でASMR関連のメディアやアプリの成功例や国内での盛り上がりを見ていると、今がASMRビジネスのチャンスだと感じます。
ASMRの認知度は確実に上がってきている
ASMRの認知度は国内でも着実に上がってきています。
ASMRは2008年に米国で生まれ、Youtube等のメディアから逆輸入という形で近年日本に入り込んできました。
今年に入ってからテレビや雑誌で取り上げられ始め、一般的にもある程度認知が広まってきた段階にあるように感じます。
インフルエンサーと強いコミュニティの誕生
日本でも2014年ごろからASMRの動画配信を始めるASMRistが誕生し始めました。
日本を代表するASMRistのはとむぎさんはチャンネル登録者数こそ公表されていないものの、投稿する動画の再生回数は平均数十万回と、有名Youtuberを凌ぐ人気を誇っています。Twitterのフォロワー数も3万2000人(2018年5月現在)です。
人気すぎて既にグッズが販売される人気ぶり。そしてASMRistのファンの間の結束力というか、コミュニティの強さは僕から見ても宗教的なキモさ強さを感じます。声優ファンの上位交換的な盛り上がり方です。気になった方はYoutubeのコメント欄とか見てください。
こういった有名ASMRistと提携することができれば、そのファン層をサービスに取り込むことも容易ではないでしょうか。
日本ウケを狙った音フェチアプリ「LISPON」
日本で唯一のASMRを扱ったアプリとして、百度(バイドゥ)の運営するLISPON(リスポン)があります。とは言っても中国の企業なんですけどね。
LISPONは「音フェチ」のためのアプリで、キャストと呼ばれる配信者がボイスのLIVE配信をしたり、リスナーがキャストにボイスのリクエストをすることができます。ユーザーとクリエイターのコミュニケーションに焦点を当てているように感じますね。
前項で紹介したTinglesとは異なり、LISPON(リスポン)はどちらかと言うとセクシャルな欲求を満たす方向にシフトしている印象があります。アプリ内のユーザーのアイコンも見事なまでに二次元一色。利用規約に書かれているのかと疑うレベル。
前項で紹介したPeerJの調査ではASMR視聴者の大部分の目的が睡眠やリラックスでしたが、あくまで海外での調査結果。ASMRに性的欲求を強く感じる人もいるのも事実ですし、変態国家である日本は変態的趣向でASMRを愛する人は他国よりも多いのではないでしょうか。二次元の耳かき動画とか10年以上前からありましたし。
リスポンは敢えてそういったコアな変態音マニアをターゲットにしたメディアを目指し、結果的にアプリを軌道に乗せています。
ユーザーの趣向性にあわせたコンテンツ作りがカギ
今後の国内でのASMRに関した事業の展開として、ユーザーの趣向性をどのように掴むかが重要になってくるのではないでしょうか。
ASMR、音フェチのコンテンツと一口に言っても、視聴する用途や環境・トリガーは人により大きく異なります。LISPON(リスポン)のように「音(声)フェチ」のユーザーをターゲットにしたアプリやメディアは、私のようにリラックスを求めるユーザーには合わないものになります。
ユーザーのASMRへの趣向性に合わせたデザインやコンテンツ作り、そのためにインフルエンサーの選定が大切になってくる。
そんな気がします。
まとめ
というわけで、ASMRアプリのTinglesを取り上げつつ、国内のASMRについてちょっと考えてみました。
Tinglesは睡眠・リラックスを目的としたユーザーに合わせた設計になっており、個人的にはドンピシャなアプリです。Tinglesは機能性やデザインもそうですが、クリエイターの質も高く、既に完成度がかなり高いように感じますね。
言語や国内のASMRistにも対応すれば、日本を含めたアジア地域でもASMRの代表的なアプリとなりそうです。
日本でさらにASMRのコンテンツが盛り上がってきてくれたらと思います。
2018年はきますよ、ASMR。ふふ。